Clostridium felsineum var. sikokianumの呈するポリガラクチュロナーゼ作用に就て
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概要
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1. Clost. felsineum var. sikokianumの呈するポリガラクチュロナーゼに就て実験を行い,ペクチン酸の粘度を急激に低下するが還元力の増加は余り起らないことを観察した. 2. ぺーパークロマトグラフィにより生成物を検索したが, 96乃至144時間作用して漸くoligosaccharideを認めた.しかしgalacturonic acidは酵素濃度を高くしたときのみ僅かに認められたにすぎなかつた. 3. 粘度低下測定によるこの酵素の作用最適pH価は5.0〜5.6の間にあり,最適温度は・45°である.70°に20分間保持すると不活性化された.従つてトマトに指摘されたdepolymeraseとは異る性質を有することを確認した. 4. 酵素の賦活物質としてはニッケルイオン,食塩があり,阻害物質としてはタンニン酸,蓚酸アンモン,硝酸銀,醋酸鉛,亜砒酸を指摘した. 5. ペクチンに対する作用からpolymethylgalacturonase又はpectin depolymeraseとは異ることを確認した. 6. 以上の諸点より所謂ポリガラクチュロナーゼなる酵素の内のペクチン酸の粘度低下度の著しい型の酵素がこの細菌の該酵素の大部分を占めていると考察した. 御懇篤なる御指導を賜わつた京大片桐英郎教授に深謝し実験遂行上御教示頂いた北原覚雄教授に感謝の意を表する.又クラリナーゼを御寄贈下さつた岩崎康男博士,御助言を頂いた川村信一郎教授及び実験を助力された斎藤博氏に感謝する.費用の一部は文部省の昭和27年度科学研究助成補助金によつた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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