花こう岩土壌と花こう岩系のこう積層土壌におけるブドウの4要素施肥試験について
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概要
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1) 瀬戸内海沿岸地区では大部分の果樹園が花こう岩土壌 (通称マサ土) および花こう岩系のこう積層土壌 (通称アカ土) からなつている。この報告は, 両土壌を用いて鉢植えしたブドウについて, 3か年間肥料4要素が樹体の生長や果実の収量品質に及ぼす影響をみた成績である。2) 初年次および第2年次 (未結実) の生育は, 両士壌とも各肥料処理区の間では4要素区に比べて無肥料区が最も劣り, ついで無リン酸区, 無窒素区の順に劣り, 反対に無加里区, 無石灰区は4要素区と同じか, あるいはややすぐれた。4 要素区にたい肥を加用した区は全区の中で最もよかつた。第3年次 (結実) になると着果の影響をうけてか無加里区の生育がもつとも劣つた。3) 両土壌間の生育を比較すると, 各肥料区を通じてこう積層土壌が花こう岩土壌よりもよかつた。ただし第2年次, 第3年次になるほど, 無加里区, 無石灰区, 4要素区, およびたい肥加用区では両土壌間の相違が初年次ほど顕著でなくなつた。4) 第3年次 (結実) における結実への影響をみると, 花こう岩土壌では無肥料区および無リン酸区が, こう積層土壌では無リン酸区が着穂 (結実) しなかつた。また, 無窒素区は両土壌とも着穂 (結実) したが, その着房数や全房重がきわめて悪く, かつ熟期がはなはだ遅れ, この傾向はとくに花こう岩土壌で著しかつた。しかし, 無加里区および無石灰区, たい肥加用区は両土壌とも着房数および房重において4要素区と同じか, あるいはややすぐれた。これらの各肥料区を通じて両土壌を比較すると, 着房数ではいちじるしい相違がないが, 全房重では花こう岩土壌がよく, そのためにか糖度ではこう積層土壌の方がややよかつた。
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