果樹の亜硫酸ガスによる煙害 (第5報) : カンキツ類の亜硫酸ガスの吸収と落葉ならびに体内成分との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
温州ミカン, ハッサク, ナツダイダイを連続通気方法によつてSO2くん蒸を行ない, SO2の吸収量すなわち葉内S含量の増加と落葉率ならびに他の葉内成分含量におよぼす影響を調査した。1. 冬季毎日2時間あて34日間, 5, 1, 0ppmの濃度のSO2でくん蒸した結果, 煙斑の発生は認められなかつたが, 落葉率はいずれの種類も処理によつて有意的に増大したが, 濃度間では有意差はみられなかつた。一方葉内S含量は各種類ともSO2濃度の増加とともに増大し, 落葉率と関係があることを示した。SO2濃度とK含量との関係は, 0, 1ppm両区では明らかな関係はなく, 5ppm区では両区に比べ減少の度合がわずかであつた。また5ppm区ではいずれの種類もCaの減少の度が大であつた。N, P, Mgは処理に影響されなかつた。2. 生育期間中のくん蒸の結果でも葉内S含量の増加と落葉率とは平行的な関係が認められたが, S含量の増加は冬季より大であり, またくん蒸期間が長いほど顕著であつた。冬季の実験に比べCa含量に対する影響は明らかでなかつたが, Kは処理区が常に高かつた。3. SO2の吸収量はハッサク, ナツダイダイは温州より大きかつたが, 落葉率は温州が最も大であつた。4. 120ppm-hour の同一積算量において濃度と時間を組合わせた場合, 高濃度短時間処理のほうが低濃度長時間処理より著しく被害が大であつたが, S含量はくん蒸区の間に大差はなかつた。
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- カキ果実のタンニン細胞の発育過程と自然脱渋との関連について
- 気象要素と果実品質変動の関係とカンキツの適地性について
- 甘ガキと渋ガキのタンニン物質の差異について
- 果樹の亜硫酸ガスによる煙害 (第5報) : カンキツ類の亜硫酸ガスの吸収と落葉ならびに体内成分との関係
- 果樹の亜硫酸ガスによる煙害 (第6報) : イオウ系薬剤の散布後の亜硫酸ガスくん蒸が温州ミカンの落葉に及ぼす影響
- 果樹の亜硫酸ガスによる煙害 (第3報) : カンキツの落葉に及ぼす亜硫酸ガスのくん蒸とボルドー液散布の影響
- 甘ガキと渋ガキのタンニン物質の化学的特性, 特に超遠心分離における挙動の差異について
- 果樹の亜硫酸ガスによる煙害-2-被害カンキツ樹の実態ならびにその栄養学的観察