薬剤によるモモの摘果 (第1報) : ピーチシン散布がモモ白鳳の結実に及ぼす影響
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概要
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薬剤による摘果を実用化するために, ピーチシン322を用いてモモの摘果試験を1961年より1963年にわたつて行なつた。1. 1961年樹勢中庸の12年生白鳳4樹を用い, 1樹を5等分して5処理区を作り, 4回反復で試験を行なつた。処理はピーチシン50ppm, 100ppm, 200ppm, 400ppm散布および対照の5つとし, 散布は満開後2日とした。供試樹4本のうち2本はピーチシンの摘果効果を認めたが, 他の2本は効果がなかつた。400ppm散布が摘果程度が適当であつた。2. 1962年, 前年と同じ樹を用い1樹を3分して対照区, 200ppm散布区, 400ppm散布区とした。散布日は満開後2日で散布後降雨をみたので, 一部の枝に2回めの散布を満開後4日に行なつた。摘果効果の現われるのは満開後10日以後25日ぐらいまでの間であつた。枝を長果枝, 中果枝, 短果枝に分けて摘果効果を調べたが, 枝の長短間では摘果効果に有意差なく木による差のほうが大であつた。ピーチシンの落果が終るのは前年と同様満開後25日ごろまでで, 400ppm1回散布および200ppm2回散布が適当な摘果程度であつた。3. 1963年も前年と同じ供試樹を用い, 対照区, 200ppm1回散布区, 200ppm2回散布区の3区, 4回反復で試験を行なつた。本年は対照区の結実歩合も高く, 2回散布でも摘果ふじゆうぶんであつた。しかし摘果不足でも早期摘果の効果があり, 手直し摘果時の調査では残つた果実の肥大はよかつた。4. 4年生若木について, 1962年白鳳6本を用いて試験を行なつた。成木にくらべて落果が多く, 400ppm2回散布でほとんど全果実が落ちてしまつた。1963年も同じ樹 (5年生) を用いて試験を行なつたが摘果効果は少なかつた。5. 1961年より1963年を通じて, 自然の結実の悪い年は, ピーチシンの効果高く, また落果の多い木は摘果効果が大きい。満開後25日ごろのピーチシン200ppm1回散布区と対照区との結実歩合には高い相関関係を認めた。6. ピーチシン散布後, 供試樹の一部の葉にごくわずかに薬害を認めたが実害はなかつた。
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