トマトの高温障害に関する研究 (第5報) : 受精, 胚の発育および高温処理花の形態的異常
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概要
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トマトの受精, 胚発生の過程を明らかにし, これらの過程における高温による異常を観察するため実験を行なつた。授粉以後は20°Cの下に植物体を育て, 高温処理は40°Cで4時間行なつた。正常なトマトでは授粉3時間後には柱頭上で発芽した花粉が観察された。受精は早いもので授粉18時間後, 大部分は24〜30時間後に行なわれた。授粉48時間後には胚乳核は2核に, 72時間後には4核, 96時間後には8核になつた。また胚乳の細胞膜は核分裂後直ちに形成された。前胚は授粉96時間後に2細胞, 120時間後に4細胞, 192時間後には10細胞以上になつた。授粉18時間後, 大部分の胚珠で受精が行なわれていない時に高温を受けると胚珠の発育は停止した。これは花粉管の伸長が, 高温の影響を受けやすいためと思われた。授粉24〜96時間後に高温を受けた胚珠では主として胚乳の崩壊が認められ, 細胞質や核が濃く染まつたもの, あるいは空虚になつたものが観察された。一部には前胚の発育の遅れたものもみられた。しかし授粉120時間後に高温処理を受けた胚珠では形態的な異常はほとんど認められなかつた。以上の結果は前に報告した開花後の花のステージと高温による着果率の減少の程度との関係によく一致するように思われた。
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