マンガンおよびカルシウムの施用濃度と温州ミカンの異常落葉
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概要
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温州ミカンのいわゆる異常落葉の原因を明らかにするため, カラタチ台温州ミカンの幼木を用い, 培養液中のマンガンとカルシウムの濃度をかえて砂耕試験を行ない, つぎのような結果を得た。1. 植物体の生育はマンガンの施用濃度が高くなるほどわるくなり, この場合, カルシウムの施用濃度が低くなるほどマンガンの生育阻害が顕著となつた。2. マンガンの施用濃度が高まるにつれて細根の腐敗と落葉が激しくなり, また, 葉に褐色の斑点とクロロシスの発現が著しくなつた。この場合にも, カルシウムの施用濃度が低くなるほどこれらの症状の発現が顕著になつた。3. 植物体のマンガン含量は細根, 葉など末端部ほど高く, とくに細根に著しい集積がみられた。4. 植物体各部のマンガン含量はマンガンの施用濃度と密接な関係があり, 培養液中のマンガン濃度が高い場合には生活作用の関与しない吸収が行なわれることが考えられる。5. 培養液中のマンガン濃度が高い場合にはカルシウムの施用濃度が低くなるほど植物のマンガン含量が高くなつた。6. 以上のような結果から, 温州ミカンのいわゆる異常落葉は一種のマンガン過剰症であり, その発現には培地中の可給態マンガン濃度が大きく関与すると考えられる。
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