尖閣列島産テッポウユリに関する研究 (第1報) : リンペン繁殖による子球の生育反応
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概要
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尖閣列島産テッポウユリ「尖閣」を15, 25°Cで, リンペン繁殖 (Scaling) し, 形成された子球を15, 20, 25, 30°Cで生育せしめ, 出葉, 抽台, 伸長, 肥大などを調べ, 同じ方法で生育せしめたテッポウユリ「ひのもと」,「宗像」と比較検討した.「尖閣」はほかとくらべて葉が細長く, 艶があり, 茎の伸長が大であつた. 15°Cで Scaling した場合, 「尖閣」はほかよりやや早く出葉した. この葉はすべてリンペン葉 (Scaly leaf) であつた. 25°C Scaling の場合, Scaling 期間中 (2か月半)にはどのユリも出葉しなかつた.形成された子球 (Scale bulblet) を1か月間無加温室に10月一杯放置したあと, 15, 20, 25,30°Cに定植して生育反応を調べた. 25°C Scaling の子球は, まず定植後はじめの1〜2か月間に「尖閣」では約60%,「ひのもと」,「宗像」では約30〜40%がどの温度区でも抽台した. この抽台個体はどれもリンペン葉を持たず, 茎葉 (Stem leaf) だけを持つていた. 定植後3〜4か月後に, 「ひのもと」,「宗像」では15, 20°C区で抽台する個体があらわれた. 15°C Scaling の子球では,「尖閣」はどの温度区でも生育期間中には抽台しなかつた.「ひのもと」はごくわずかの個体が定植前に抽台し, この葉はすべて茎葉であつた. 定植後は25°C Scaling の子球と同じく,「ひのもと」,「宗像」ともに, 3〜4か月後に15, 20°C区で抽台ずる個体があらわれた. Scaling 温度のいかんにかかわらず, 15, 20°C生育温度区で3〜4か月後に抽台しはじめた「ひのもと」のうち, いくつかはさし芽 (Summer sprouting) であり, ほかはリンペン葉を持つ個体が抽台したものであつた.「宗像」はすべて後者であつた.これらの事実から, Scaling によつて形成された子球が1年子 (Yearling) に生長するには次の図のように3種の過程があることが明らかとなつた.
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