テツポウユリりん茎の生育反応に関する研究 : V. 仔球の出葉形態に及ぼす低温期間の影響
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概要
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仔球の出葉には低温が必要であるが, 高温 scaling 仔球では普通葉, 低温 scaling 仔球では葉状りん片の発達をみる. 光は scaling 中のりん片あるいは仔球自体のりん片をとおして葉状りん片の発達を促し, この光の作用は低温ほど顕著である. 一方, 暗黒下においても, 低温の影響が大きくなると葉状りん片の発達が促されることが知られている.本実験では, 親りん片から切り離した仔球を用い, 仔球の出葉形態に及ぼす低温処理期間の影響を調べた.1973年8月15日, 宗像産テッポウユリ「ひのもと」(L球, 球周25cm以上) のりん片を15および25°Cでscaling し, 1974年4月4日, 球径10mm以上の未出葉仔球を選んでピートに植え込んだ (覆土15〜20mm).低温 (5°C) に0 (無低温区), 1, 2, 3, 4および5か月間貯蔵したのち, 20°Cで出葉させてその出葉形態を調査した.低温処理期間が長くなるほど葉状りん片の発生 (地中型植物, HTP) が多くなつた. この地中型植物 (HTP)の増加は25°C scaling 仔球よりも15°C scaling 仔球に顕著であつた.抽台して普通葉を発生した仔球 (地上型植物, ETP)についてみると, 15°C scaling 仔球では, 低温期間のいかんにかかわらずほぼ一定で13〜18%であり, これに対して25°C scaling 仔球では, 低温期間1〜4か月のとき55〜58%であつたが, 低温期間5か月の場合は43%に低下した.これらの結果から, scaling 温度のいかんにかかわらず, 低温期間の延長は仔球における葉状りん片の発生,すなわち, 地中型植物 (HTP) を増加させることが明らかである.
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