化学的処理によるピーマンの除雄に関する研究 (第3報) : 2塩化プロピオン酸ナトリウムの反復散布および構造類似物質の影響
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概要
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過去2回の報告において2塩化プロビオン酸ナトリウムの除雄効果について述べたが, 実用化の障害として茎葉および雌ずいへの薬害がみられたので, これらの障害回避ならびに効果の持続性と安定性を図るために反復散布を試みた. 昌介ピーマンを供試して毎週1回100〜300ppm水溶液を葉面散布し6回継続した. 反復散布の結果, やくの裂開抑止効果の確実な200ppm以上の濃度区においても茎葉の薬害はきわめて軽微であつた. しかし花にみられる変化は著しく, 処理濃度の高まるほど花冠の発育はわるく, 子房の異常肥大が顕著となつた. これに伴つて果実はさらに短型となり, 1果当たり種子数は1回処理に比べて減少率が大となつた. 反復散布処理は茎葉および生育上の薬害回避ひいては個体当たり担果数の増加という点では効果的であるが, 雌ずいに対する薬害はかえつて高められるので散布回数をあまり多くできないことがわかつた.つぎに, 2塩化プロピオン酸ナトリウムと構造類似の化学物質を散布して除雄効果の有無程度と薬害発生を調べた. この結果, 低位の塩化脂肪酸の塩類は一般にやくの裂開を押える働きをもつことがわかり, 供試物質のうちでは2塩化イソ酪酸ナトリウムを除くと塩化プロピオン酸ナトリウムの散布が有望と判断された. いずれの薬剤についてもやくの裂開抑止効果がみられる場合は, 例外なく処理後12〜15日で発現し, その際必ずやくの黄化を伴つた.
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