温州ミカンの浮皮に関する研究(第2報) : 果皮細胞の形態的変化ならび果皮内セルラーゼ活性について
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概要
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1. 温州ミカンの浮皮果発現防止の基礎資料を得るために, 池田系普通温州成木の果実を供試し, 果皮細胞の分裂および肥大について観察した. また, 細胞肥大に関連して, 果皮内のセルラーゼ活性を測定した.2. 果皮を内部アルベド, 外部アルベドおよびフラベドに分けて, 細胞分裂の停止期を調べた. 内部アルベド組織では, 満開後約20日の6月上旬, 果皮の横径が約1cmになつたころ分裂を停止した. 外部アルベド組織は横径2cmになつた6月20日ころ, フラベド組織は横径約3cmに達した7月10日ころ, それぞれ分裂を停止した.3. 分裂が終わつて肥大生長に移つたアルベド細胞では, 最初, 隣接する細胞の接点にわずかなペクチン質の集積がみられ, そのペクチン質の集積は果実の発育が進むに従つてしだいに増大し, その部分の細胞壁を内側に凹ませ, 外観的には放射状の突起を持つた細胞形となつた. 細胞突起は果皮表面積の増大とともに著しく引き伸ばされ, 空げきの多いアルベド組織を形成した. なお, アルベド細胞の放射状突起は果面の接線方向と平行な方向に伸長した.4. 果実の発育に伴つて, アルベド組織の細胞間空げきが著しく大となり, 空気に接する細胞表面が多くなるために, 果実肥大後期から成熟期にかけて, アルベド組織の水分含量は減少した. それに対して, フラベド組織の水分含量はほとんど変わらなかつた.5. 果実の肥大速度が低下する10月下旬から, アルベド組織のセルラーゼ活性が低下し始め, 収穫時には著しく低くなつた. しかし, フラベド組織のセルラーゼ活性の低下はわずかであつた.
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