リンゴ果実の成熟 : (第2報)成熟期の呼吸量, エチレン排出量および内部ガス濃度の相互関係ならびに比重または蜜入りとの関係
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概要
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リンゴ(‘ゴールデン•デリシャス’, ‘スターキング• デリシャス’および‘ふじ’) の成熟現象, 主にエチレンの呼吸量に対する作用を明らかにするため, 成熟期に7〜14日間隔で3〜6回収穫し, 収穫1日後から7〜18日後までの呼吸量, エチレン排出量および内部ガス濃度, 収穫時または収穫1日後の比重および蜜入り程度を測定した.1. 収穫時期が遅い‘ふじ’以外は, 内部エチレン濃度の急上昇に伴って内部炭酸ガス濃度が上昇し, やや遅れて呼吸量が増加した. ‘スターキング•デリシャス’ は, 呼吸量の増加が続いている時期に内部炭酸ガス濃度の低下が始まり, 呼吸量の減少と内部エチレン濃度の低下がほぼ同時に起こり, その後エチレン排出量の減少がみられた. 一方, ‘ふじ’は内部炭酸ガス濃度の低下と呼吸量の減少がほぼ同時に起こり, その後内部エチレン濃度の低下が始まり, さらに遅れてエチレン排出量の減少がみられた.2. 蜜入りに伴って比重が増大するとともに, 内部酸素濃度の急速な低下と内部炭酸ガス濃度の上昇が起きた. ‘ふじ’は収穫時期が遅くなるほど比重が増大し, これに伴って収穫1日後の内部エチレン濃度が上昇した. 収穫時期が遅く, 比重, 蜜入り程度が大きくなった‘ふじ’は, 内部エチレン濃度が急上昇しても呼吸量はほとんど増加しなかった. ただし, 内部エチレン濃度の急上昇は, 内部酸素濃度が低い場合にはみられなかった.3. 以上の結果から, エチレンは呼吸を促進し, 呼吸の climacteric rise を誘起するが, 比重の増大または蜜入りは果実組織のガス透過性および溶解性に影響を及ぼし, ひいては呼吸量, エチレン排出量および内部ガス濃度のみならず, エチレンの呼吸量に対する作用についても大きな影響を与えるものと考えられる.
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