温州ミカン果実の初期生長に及ぼす葉齢と摘葉処理の影響

概要

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温州ミカン果実の初期生長と春葉の生長との関係を調査した.1. 園地に栽培されている温州ミカン樹について, 有葉花と直花の発生状況とそれらの結実率について調査した. 有葉花の着生割合は, 着花の多い樹 (成り年樹) は着花の少ない樹 (不成り年樹) より, 内部は外部より明らかに低かった. 成り年樹の外部での有葉花率は, 園によって変動がみられたが, ほぼ20〜35%を示した. また有葉花の1新しょう当たりの着生葉数が増すにつれてそれらの占める比率は低下した. 結実率は, 直花より有葉花で高く, また, 有葉花当たりの着生春葉数が多いほど結実率は高くなる傾向を示した.2. 人為的摘葉処理による春葉と旧葉の有無が幼果の生長に及ぼす影響を調査した. 第一次生理落果終了時の結実率は, 開花時の子房重の重かった処理区, すなわち, 旧葉区, 無摘葉区で高く, ついで摘葉区となり, 子房重のもっとも軽かった新葉区では開花まもない時期に大部分は落果した. 第二次生理落果では, 春葉の着生していない旧葉区, 摘葉区での落果がいちじるしかった. 無摘葉区と新葉区の有葉花の子房重はそれぞれの直花に比べて重く, また, 有葉花において, 着生春葉数が増加するにつれて子房重は重くなる傾向がみられた. この調査でも, 有葉花の結実率は直花より明らかに高かった.3. 有葉花の開花直後からの果実生長を春葉の生長と対応させて検討した. 相対生長率からみて, 果径および果実重は, 開花直後に大きな値を示したが, その後一時低下し, 開花3〜4週目ごろから再び極大を示し, その後漸減する傾向がみられた. 砂じょうは開花時にすでに小突起がみられ, 2度目の相対生長率の高くなる時期には, 心室内にほぼ充満した. そしてこの時期より果実重の増加速度が目立つようになった. 葉面積の増大量の変化を有葉花における春葉数の相違からみると, 春葉数が少ないほど早く葉面積は最大に達したが, 総じて葉面積が最大に達する時期は, 果実生長が急激な増加を示す約1〜2週前であった.
園芸学会の論文

著者

新居直祐
名城大学農学部

温州ミカン果実の初期生長に及ぼす葉齢と摘葉処理の影響

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