バラ科の果樹類の種々の器官における師管の細胞構造とソルビトール含量
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概要
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バラ科の果樹類のうちビワ, モモ, リンゴ, ニホンナシを用いて, 葉柄, 果柄, 根の維管束の師管細胞における真珠層 (nacreous cell wall) の発達状況とそれらの器官と葉, 果実の可溶性炭水化物含量を調査した.<BR>モモの若い, 未展開葉の葉柄の師管の細胞質には細胞小器官が観察されたが, 真珠層細胞壁が細胞質中へ拡張するとともに, 細胞小器官は変化し始め, 師管の細胞壁の拡大が終わる時期には, ほとんど消失した.モモの葉柄における真珠層の形成初期には, 師管の細胞質にp-protein bodyが観察でき, 細胞壁の拡張時に分散していった.<BR>調査したすべての果樹における葉柄の師管の細胞壁の内部成長は顕著であった. 果柄における師管の細胞壁の拡大程度は種によって相違し, ビワの細胞壁の内部成長が最も著しかった. ついでモモの拡大程度が大きく, リンゴ, ニホンナシでは小さかった. ビワの根には真珠層の拡大がある程度観察されたが, リンゴの根では少なく, モモ, ニホンナシの根ではその発達はほとんどみられず, わずかに薄い細胞壁がみられる程度であった.<BR>バラ科の果樹類において, 種や器官によって相違するものの, 葉柄と果柄, 根の師管の真珠層の発達程度とそれらに転流する可溶性炭水化物との関係を検討することは重要であると考えられる.
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