温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第3報) : 落下衝撃の許容限界と軟質ウレタンの緩衝効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
温州ミカン果実の砂じょう破壊を指標として, 落下衝撃の許容限界を検討し, 果実の取扱い過程や選果荷造工程における損傷防止に関して調査研究を行なった.1) 温州ミカンのM級果実について, 落下時の瞬間最大衝撃値 (以下衝撃値と略す) と砂じょう破壊について検討した.衝撃値が10kg 以上に達すると明らかに砂じょうの破壊がみられた.2) 落下高, 落下回数と砂じょう破壊の関係について調査した.固い材質上に果実を落下させた場合, 砂じょうの破壊は, 落下高 40cm のとき, 1回で起こったが, 落下高30cm では3回まで, 落下高20cm の場合は10回までは起こらなかった.落下高30cm での衝撃値はほぼ10kg であった.また, 他の果実上に落下させた果実の砂じょう破壊は比較的少ないが, 打撲を受けた下側の果実の砂じょう破壊は大きく, 落下高30cm 以上になると有意に増大した.ここで, M級果実の落下高の許容限界は30cm と考えられた.3) ミカン果実の落下衝撃を軽減し, 砂じょう破壊を防止するため, 軟質ウレタン(S.C) の緩衝効果について実験した.衝撃値を10kg以下に緩和できる厚みの軟質ウレタンは, 砂じょう破壊を確実に防止することができた. また, 70cm以下の落下高では, 20〜30mm 厚の軟質ウレタンは衝撃値を最も軽減でき, 50mm 厚では20〜30mm厚に比べ, 衝撃値はむしろ増大し, 落下果実の砂じょう破壊も増加した.
- 園芸学会の論文
著者
-
山下 重良
元和歌山県果樹園芸試験場
-
山下 重良
和歌山県果樹園芸試験場
-
宇田 拡
和歌山県果樹園芸試験場
-
和田 年裕
和歌山県果樹園芸試験場
-
北野 欣信
和歌山県果樹園芸試験場
-
八田 茂嘉
和歌山県果樹園芸試験場
関連論文
- 果樹園における多目的スプリンクラ-の配管設計に関する研究--とくに散水ラインにおける薬液損失ならびに配管コストからみた経済的配管方式
- モモのハウス栽培に関する研究-1-加温開始時期がモモ樹の発芽,開花に及ぼす影響
- チェリモヤの施設栽培
- 魅惑のくだもの「チェリモヤ」
- 温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第4報) : 果実に対する静圧荷重と堆積厚さの許容限界
- ウンシュウミカン園の灌漑法と用水量の再検討
- カンキツ園におけるスプリンクラ防除に関する実証的研究-3-スプリンクラの配置と配管方式について
- カンキツ園におけるスプリンクラ防除に関する実証的研究-2-スプリンクラの器種選定と改良効果について
- カンキツ園におけるスプリンクラ防除に関する実証的研究-1-スプリンクラの薬液散布特性について
- 温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第3報) : 落下衝撃の許容限界と軟質ウレタンの緩衝効果
- 温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第2報) : 選果荷造工程と果実条件が砂じょう破壊に及ぼす影響
- 温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第1報) : 外力による果実組織の破壊様相と選果荷造工程における果皮の損傷
- 果実吸蛾類特にヒメエグリバに関する研究-1-