ウンシュウミカン樹の春梢形成に用いられる貯蔵窒素の形態と貯蔵部位
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ウンシュウミカン樹の窒素の貯蔵部位とその化学的形態を明らかにするため, 21年生樹を供試し, 新生器官の形成に伴う窒素の減少を部位別および化学形態別に調査した. 得られた結果の概要は次のとおりである.1. 新梢を除くすべての植物部分の単位乾物重当たり窒素含量は新梢形成に伴って減少した. 減少の大きい部位は葉と枝•根の先端部, 特に枝の先端部であり, これらはもともと窒素含有率の高い部位であった. また窒素含有率の減少は木質部より皮質部で大きかった. 一方新梢への窒素供給量の多少からみると, 葉, 大枝, 主幹•冠根などが重要な部位であり, これらの部位では皮質部より木質部からの供給量が多かった.2. 貯蔵窒素の主要な形態はタンパク質 (70%アルコール不溶成分), 遊離のプロリン, アルギニン及びアスパラギンであった. 各成分の減少の人きい部位についてみると, タンパク質は全窒素に類似し, フロリンは葉と枝先端部, 特に皮質部であり, アルギニンは葉を除く地上部先端部, 特に木質部であった. アスパラギンは根先端部, 特に皮質部であった.3. 葉および2年生枝皮質部と木質部のタンパク質構成アミノ酸組成は新生器官形成前後 (2月と7月) において大きな変化を示さなかった. このことは特定のアミノ酸に富んだ特異な貯蔵タンパク質またはペチドの存在を否定するものである.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- ダイズによる^C同化産物の主茎と分枝による転流の差異 : オートラジオグラフによる解析
- 6-27 登熟期における大豆の主茎,分枝別光合成産物の役割(植物の代謝および代謝成分)
- ウンシュウミカンの果実による炭酸固定
- ナツダイダイの果実内における有機酸の生成蓄積機構-3-砂じょうによる14CO2固定の生育時別変化
- 8 有機酸含量の異なる普通夏橙と川野夏橙における明・暗固定産物の果実内変化(関西支部講演会講演要旨(その2))
- 6 灰色低地土転換畑土壌の資材施用による改良 : 堆肥およびポリ塩化アルミニウムによる物理性改良(関西支部講演会要旨)
- 6-24 ミカン樹の春季新生器官形成におけるアルギニンの利用(6.植物の代謝および代謝成分)
- 6 温州ミカン樹における吸収窒素の地上部への移動形態(関西支部講演会講演要旨(その1))
- 12 転換畑大豆の時期別灌水と養分吸収 : とくに窒素について(関西支部講演会要旨)
- 10-10 転換畑大豆の時期別灌水と養分吸収(第2報) : とくに窒素について(10. 肥料および施肥法)
- 温暖地転換畑におけるダイズの追肥窒素(^N)の吸収・分配に対する灌水の影響
- 全自動型全窒素重窒素同時測定装置によるダイズ作物体中のN, ^N分析
- 作物栄養診断のための多重標識技術
- タマネギの窒素栄養とその診断法および貯蔵腐敗要因の解析
- ウンシュウミカン樹の貯蔵養分蓄積に対する13Cおよび15N2重標識法による解析の試み
- ウンシュウミカン成木の窒素栄養状態と葉,枝,果実の窒素成分含量の関係
- ウンシュウミカン樹におけるたんぱく質の分別と春季における消長〔英文〕
- 果樹におけるグアニジノ化合物の存在とウンシュウミカンにおけるそれらの季節的消長〔英文〕
- ウンシュウミカン樹の晩秋における14C-プロリンの枝及び根部への移動〔英文〕
- ウンシュウミカン樹の木部及び師部における14C-アミノ化合物の上方移動〔英文〕
- ウンシュウミカン樹によるアルギニンε-15N2,尿素-15N2及びアンモニウム-15Nの代謝〔英文〕
- ウンシュウミカン樹の切枝における14C-アルギニン及び14C-プロリンの代謝〔英文〕
- ウンシュウミカン樹の春梢形成に用いられる貯蔵窒素の形態と貯蔵部位
- ウンシュウミカン樹の導管液に含まれる窒素化合物の季節的消長〔英文〕
- ウンシュウミカン樹の芽,葉,皮質部及び木質部における主要窒素化合物の季節的消長〔英文〕
- 暖地ダイズの^CO_2吸収利用
- タマネギの窒素栄養診断のためのグルタミンについて
- 6-15 暖地大豆の光合成産物の分配特性(第1報)(6.植物の代謝および代謝成分)
- ダイズによるアンモニア態窒素(15^N)および硝酸態窒素(15^N)の吸収利用
- 6-13 タマネギに対する窒素栄養診断指標の確立 : (第1報)指標としての窒素成分の検討(植物の代謝および代謝成分)
- ペーパークロマトグラフィによって分離されたグルタミンの重窒素濃度測定
- ペーパークロマトグラフィによって分離されたアミノ酸の重窒素濃度の測定
- ウンシュウミカンの窒素の吸収•代謝および分配に対する秋季低温の影響
- 果樹におけるグアニジノ化合物の存在とウンシュウミカンにおけるそれらの季節的消長
- ウンシュウミカン樹の晩秋における14C-プロリンの枝及び根部への移動
- ウンシュウミカン樹の木部及び師部における14C-アミノ化合物の上方移動
- ウンシュウミカン樹の芽, 葉, 皮質部及び木質部における主要窒素化合物の季節的消長
- ウンシュウミカン樹の導管液に含まれる窒素化合物の季節的消長
- ウンシュウミカン樹の切り枝における14C-アルギニン及び14C-プロリンの代謝
- ウンシュウミカン樹の春梢形成に用いられる貯蔵窒素の形態と貯蔵部位
- ミカン樹に対するリン酸の樹幹注入法について
- 温州ミカンの花器および新しょうの発達に及ぼすほう芽期光合成産物の役割
- ウンシュウミカン樹におけるたんぱく質の分別と春季における消長
- ウンシュウミカン樹によるアルギニン-ε-15N2, 尿素-15N2及びアンモニウム-15Nの代謝