ウンシュウミカンの窒素の吸収•代謝および分配に対する秋季低温の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
15N-硫安を与えた3年生ウンシュウミカンを1976年9月中旬より10月中旬の1か月間, ガラス戸の付いた冷蔵庫内で生育させ,窒素の吸収, 代謝および分配に対する低温の影響を調べた. 冷蔵庫内の温度ははじめの12日間に9月中旬の温度 (日平均20°C) から11月下旬のそれ (同10°C) に徐々に低下させ, その後18日間は10°Cに保った. なお, 冷蔵庫と同容積で前面に10cm離してガラス戸を付けた木箱内で生育させた樹を対照とした.この低温処理によって, 15Nの吸収量は対照の約1/3に減少し, 地上部への分配も60%から43%に低下した. さらに地上部へ移動した15Nの葉への分配が低下し, 低温は枝から葉への移動を抑制した.窒素代謝に対する影響をみると, 葉では流入した重窒素量が低温によって約1/4に減少したにもかかわらず, 標識プロリンの量は減少せず, 他のアミノ酸の著しい減少と対照的であった. このことはプロリンの生成集積が低温の影響をあまり受けないことを意味する. 葉以外の部位においては顕著な影響は認められなかった. 根から葉に至る各部位の標識アミノ酸の集積量をみると, アスパラギン, アルギニンおよびガンマーアミノ酪酸は細根で多く, 葉に近い部位ほど低下した. 一方, プロリンは逆の集積パターンを示した.
著者
関連論文
- 6-24 ミカン樹の春季新生器官形成におけるアルギニンの利用(6.植物の代謝および代謝成分)
- 6 温州ミカン樹における吸収窒素の地上部への移動形態(関西支部講演会講演要旨(その1))
- 5-17 窒素重点供給時期の相遺が温州ミカン樹(未結実)の生育と体内組成に及ぼす効果(その1) : 生育および窒素栄養について(5.植物の無機栄養および養分吸収)
- 12 転換畑大豆の時期別灌水と養分吸収 : とくに窒素について(関西支部講演会要旨)
- タマネギの窒素栄養診断のためのグルタミンについて
- ダイズによるアンモニア態窒素(15^N)および硝酸態窒素(15^N)の吸収利用
- 温州ミカン樹の春季新生器官形成時における樹体内貯蔵窒素, 特に秋肥窒素の利用について(その1)
- 14C標識化合物をとり込ませた温州ミカン果実内の有機酸中放射能の分布
- ペーパークロマトグラフィによって分離されたグルタミンの重窒素濃度測定
- ペーパークロマトグラフィによって分離されたアミノ酸の重窒素濃度の測定
- ウンシュウミカンの窒素の吸収•代謝および分配に対する秋季低温の影響
- 果樹におけるグアニジノ化合物の存在とウンシュウミカンにおけるそれらの季節的消長
- ウンシュウミカン樹の晩秋における14C-プロリンの枝及び根部への移動
- ウンシュウミカン樹の木部及び師部における14C-アミノ化合物の上方移動
- ウンシュウミカン樹の芽, 葉, 皮質部及び木質部における主要窒素化合物の季節的消長
- ウンシュウミカン樹の導管液に含まれる窒素化合物の季節的消長
- ウンシュウミカン樹の切り枝における14C-アルギニン及び14C-プロリンの代謝
- ウンシュウミカン樹の春梢形成に用いられる貯蔵窒素の形態と貯蔵部位
- ウンシュウミカン樹におけるたんぱく質の分別と春季における消長
- ウンシュウミカン樹によるアルギニン-ε-15N2, 尿素-15N2及びアンモニウム-15Nの代謝