パイナップルの物質生産に関する研究(乾物生産と収量成立過程について)
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概要
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パイナップルを9月に植えたときの乾物生産過程は, その生育期間の季節変化とパイナップルの生態的特性から生育初期(I), 生育中期(II), 小果分化期(III)及び小果肥大期(IV)に分けることができる.総乾物増加の品種間差は, 生育後期に認められ三菱系はハワイ系より総乾物重が大きくなった. しかし, 目的生産物である果実乾物重は逆にハワイ系が大きい. これは生育後期における光合成産物の器官別分配率の差によるものであった.LAIは生育中期の後半から急激に増大し, 小果分化期に確保する最大LAI6.5を生育後期まで維持した.CGRは生育中期(10月)と小果肥大期の5〜6月に頂点をもつ二頂曲線を示し, その最大値は8.1〜8.2g•m-2•day-1であった.NARはCGRとほぼ同じ推移を示し, 生育中期(8月)に2.40〜2.55g•m-2•day-1の最大値を示した.NARは生育中期のLAI2〜3の範囲で大きい値を示し, LAIがそれ以上に増大するとNARは小さくなった. また, CGRとLAIの関係は栄養生長期のLAI3〜4の範囲で最大のCGRを示し, 最適LAIは, 3.01と推定された.生育段階別のRGRはNARと密接な相関関係を示した.Euの経時変化は, 生育初期に約0.2%で推移し, 花芽分化前の12月には1.2%の最大値を示した.光合成産物の目的生産物への効率的蓄積は, 最適LAI3.01程度の株で人為的に花芽誘導することによって得られるものと考えられる. また物質生産機能及び群落構造の面からみた品種改良は, 葉身が短く, 出葉角度の小さい斜立した葉をもつ群落構造において, 個葉の光合成機能が高くなり, 多収につながるものと考えられる.
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