水ストレスによるグァバ類実生の耐寒性増大効果について
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概要
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数種のグァバ類実生において, それらの耐寒性の違いと耐寒性に及ぼす水ストレスの影響について比較調査を行った. その結果, -5°Cにおける耐寒性は Pididiumcattleianum var. lucidum とP. guineense で強く,P. polycarpum と P. friedrichsthalianum では著しく弱く, P. guajava は両者の中間であった. 10月からの2か月間の水ストレスはいずれの種においても葉の水ポテンシャルを低下させたが, その耐寒性増大効果 P.cattleianum var. lucidum とP. guineenseにおいて特に著しかった. 一方, P. polycarpum と P. friedrichsthalianumではその効果がほとんど見られなかった.本実験では更に, 水ストレスの強さや処理時期の違いがグァバ (P. guajava) 実生の耐寒性にどのような影響を及ぼすかについても調査した. その結果, 水ストレスが強くなり葉の水ポテンシャルが低下するほど耐寒性が増大する傾向が見られた. 水ストレスを10月及び12月から開始したそれぞれの個体では葉の水ポテンシャルが約-30barまで低下し, 耐寒性は著しく増大した. しかし, 8月から水ストレスを与えた個体では同じように水ポテンシャルは低下したが, 耐寒性は増大しなかった.なおこのような水ストレスによるグァバ実生の耐寒性増大効果は-5°Cでは認められたが, -7°Cでは認められなかった.本実験では, 水ストレスによって耐寒性が増大した個体では, 葉中の糖濃度が増加する傾向が見られた. プロリン濃度も水ストレスによって増加する場合が見られたが, これらの成分変化と耐寒性増大との関係を明確にすることはできなかった. また, グァバ類の耐寒性における種間差異と葉中の糖及びプロリン濃度の種間差異とには関連がなかった.
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