施設栽培ウンシュウミカンの光合成特性と果実生産力
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概要
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早生ウンシュウミカンを用いての施設栽培は実用化以来約20年が過ぎ, 栽培管理技術もほぼ確立されてきた. ウンシュウミカンの価格低迷やオレンジ輸入自由化に際し, 今後のウンシュウミカンの高収益性栽培の一つの方向として, 施設栽培がますます増加する傾向にある (2, 10).<BR>施設栽培には露地栽培と比較して, いくつかの特徴がみられる. すなわち, 連年収量が高く, しかも品質的にもすぐれた果実が生産されることである. しかし一方では主として後期加温園で樹勢の低下や収量の低減がみられ (2, 17), 施設栽培においては樹勢維持技術が重要となってきている. 施設栽培での連年の高収量,高品質を維持していくためには, 樹体の果実生産力を担っている光合成作用の施設条件下での特性を明らかにする必要があり, 光合成を維持する要点を検討することで樹勢維持技術を確立することが可能になると考えられる.<BR>従来, ウンシュウミカンにおける施設栽培樹の光合成の研究は少なく, 山本 (18), 白石ら (14) の報告がみられる程度であり, 施設栽培樹の光合成の特性と光合成に影響する諸要因とを総合的に検討した例はみられない. これまで施設栽培での高収量の原因の一つとして, 施設内の散乱光成分の増加が光合成の向上に寄与しているとの説明がなされてきた (13, 14). しかし本調査では1年間の施設樹の光合成の推移を調べることによって, 施設条件下での光合成の特性を解明することができ, 散乱光成分の増加以外の諸要因も重要であるという, 従来と異なる見解を見出し, 樹勢維持技術確立のための基礎的知見を得ることができたのでその結果を報告する.
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