培養液の窒素濃度が水耕トマトの窒素吸収量と生育ならびに収量に及ぼす影響
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概要
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第1花房開花期の水耕トマトにおいて, 培養液中の窒素濃度が生育と窒素吸収量に及ぼす影響を調査した.実験は品種強力米寿とTVR-2を用いて, は種後44日目 (11月7日) から13日間行った. 実験区は窒素濃度を2日ごとに補正し, 常に100ppmに維持した区と, 最初0ppmに2日間おいて, 以後2日遅れで100ppm区において前2日間に吸収された量と同じ窒素量を与えた0+αppm区を設けた. 0+αppm区の生体重は2日遅れで100ppm区のものとほぼ同じになるという増加の推移を示した. 乾物重も生体重と同様, 2区の関係は2日違いで同じであった. つまり, トマトは0ppmに近い濃度でも100ppm濃度での窒素吸収速度とほぼ同じ速度で窒素を吸収し, その吸収量に比例した生育量を示した.<BR>また, 供試した2品種間では, 生育量と窒素吸収量は量的には品種固有の差があり, 強力米寿の方がTVR-2より多かったが, 窒素吸収量と生育量が比例関係にあるという点では同じであった.<BR>次に, 水耕2段どり栽培において, 培養液中の窒素濃度を1週間ごとに補正して100ppm区に維持した区と, 栽培終了までの全窒素量として1株当たり4gを与えた区を比較した. 2区の間で, 生体重の増加速度は果実肥大期までは同じであり, 収量もほぼ同量であった.しかし, 実験終了時の100ppm区の茎葉重は4g施用区の1.6倍であった. 一方, 実験期間中の100ppm区における総窒素吸収量は4g施与区の約1.7倍であったにもかかわらず, 果実への窒素の分配量は両方の区で同じであった. つまり, 吸収された窒素の果実生産効率 (窒素1g当たりの果実生産量) が, 100ppm区ではかなり低くなることを示した.<BR>以上から, トマトは吸収した窒素の量に応じた生育をし, 果実を生産するものと考えられた. したがって, 水耕トマトにおける培養液の窒素管理は, 従来から行われている濃度に基づいた方法より, 生産量に見合った窒素量を施すという, 量に基づいた方法の方がより効率的であると考えられる.
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