ハマナシ (<I>Rosa rugosa</I> Thunb. ex Murray) とハマナシを片親とする種間交雑種の花弁に含まれるフラボノイドの分布について
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概要
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ハマナシ (<I>Rosa</I>節) を片親とする種間交雑種(<I>Synstylae</I>節または<I>Pimpinellifoliae</I>節の野生種との節間での種間交雑種, および<I>Rosa</I>節野生種との節内での種間交雑種) の花弁のフラボノイド分析を行い, 交雑親から後代へのフラボノイドの遺伝を調査した.<BR>1.ハマナシの主要フラボノールは, ケンフェロール (K) とクエルセチン (Q) の3-ソフオロシドであり, この成分は本研究で分析したハマナシを片親とするすべての種間交雑種において, 共通に検出された.<BR>2.<I>Synstylae</I>節野生種には, KとQの3-グルコシドが大量に含まれており, これらの成分はハマナシと<I>Synstylae</I>節野生種との節間での種間交雑種で, ハマナシ由来の3-ソフォロシドに準じる主要成分として検出された.<BR>3.<I>Pimpinellifoliae</I>節野生種では主要フラボノールとしてKとQの4-グルコシドが検出され, これらの成分が, ハマナシと<I>Pimpinellifoliae</I>節野生種との節間での種間交雑種でも, ハマナシ由来のKとQの3-ソフォロシドと共に主要成分として検出された.<BR>4.本研究で扱った<I>Rosa</I>節野生種はいずれも, この節に属するハマナシと同様に, KとQの3-ソフォロシドが主要フラボノールとなっていた。ハマナシとこれらの<I>Rosa</I>節野生種との節内での種間交雑種も,これらの成分が主要成分となっていた.<BR>このように, 両親からそれぞれ特有なフラボノールを生産する形質が, 交雑後代へと遺伝していることが認められた. 由来の不明なハイブリッド•ルゴサ系統の品種の花弁にも, KとQの3-ソフォロシドが大量に検出され, これらの品種はハマナシからの派生品種であることが示された. 以上のことから, 花弁に含まれるフラボノールの分析は, ハマナシ交雑種の交雑親の種の判定に有効であることが明らかになった.
著者
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鈴木 省三
京成バラ園
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御巫 由紀
千葉県立中央博物館
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横井 政人
千葉大学園芸学部
-
上田 善弘
千葉大学園芸学部
-
斎藤 規夫
明治学院大
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御巫 由紀
千葉中央博物館
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平林 浩
京成バラ園芸
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斎藤 規夫
明治学院大学化学研究室
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