バラ花色の定量的な分析と花色との関係
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概要
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1.主要色素成分がアントシアニンからなるバラ10品種:HT系4品種,Fl系3品種,Gr系3品種を用い,花令を3期に分け,花色および花色素を定量分析し,花色変異を総合的に考察した.2.アントシアニン色素は総含有量として0〜149.6μg/cm^2,λ_<max>は515〜530nm,その吸光度は0〜4.27の範囲に出現した.また表面色の測定結果はL値36.4〜82.4,a値7.5〜52.8,b値2.1〜40.1の範囲に分布した.3.完全開花期の色素濃度と生花弁の吸収スペクトル測定から算出されるλ_<max>での吸光度との間には,次の関係式が近似的に成り立つ.単位面積のアントシアニン量(μg/cm^2)をy,750nmの吸光度を0とした時のλ_<max>での吸光度をxとすれば,y=0.8x^2+0.05である.4.アントシアニン色素が示すλ_<max>はシアニジンとペラルゴニジン系色素の含有比によって概略的に対応し,シアニジンでは528nm付近,ペラルゴニジンが増加するにつれて515nm付近に近づいた.5.シアニジンと共存するペラルゴニジン色素の混合比から,バラ花色の色相は次式に近似できる.色相(b/a)をHとし,両色素の混合比(ペラルゴニジン/シアニジン+ペラルゴニジン)をZとすれば,H=0.25Z+0.155となる.本式からバラでのシアニジン系色素やペラルゴニジン系色素のみから生ずる一つのモデルの花色(色相)が算出された.前者が0.155で,後者は0.405であった.6.完全開花期の吸光度とL値(明度)の間には概略的に相関性が認められ次式が成り立つ.L値をL,Aを吸光度とすれば,[numerical formula]である.7.アントシアニン色素の出現は,各品種とも花令が進むにつれて単位面積当りの含有量は減少し,初期の1/2ほどになった.ただ色変り品種,チャールストン,明星は後期に増加した.8.上記の手法により,花色を定量的に取り扱えば,今後,すべての項目の測定を行なわなくても種々の値が算出でき,花色の総合的判定および花色の育種,品質測定などの実用的利用が容易にできると考えられる.
- 千葉大学の論文
- 1979-02-28
著者
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横井 政人
千葉大園芸学部
-
横井 政人
花卉園芸学研究室
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斎藤 規夫
花卉園芸学研究室
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川畑 優子
花卉園芸学研究室
-
鈴木 省三
花卉園芸学研究室
-
平林 浩
花卉園芸学研究室
-
斎藤 規夫
明治学院大学一般教育部
-
鈴木 省三
京成バラ園芸
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横井 政人
千葉大 園芸
-
平林 浩
京成バラ園芸
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