ニホンナシの花芽分化に伴う茎頂の形態と細胞構造の変化
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概要
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花芽の分化に伴う頂端分裂組織の細胞の形態と構造の変化を追及し, 花芽分化機構の一端を解明するためにニホンナシ噺水の短果枝の芽を材料にし, 新梢上の葉芽と比較しながら, 蕚片原基分化期までの段階に重点をおいて研究を行った.<BR>1.花芽分化の兆候は6月26日に認められ, りん片が緩み, 茎頂が肥厚し始めた. ついで, 7月3日に側花原基が出現し, 7月10日に蕚片原基も分化し始めた. そして7月17日に花弁原基が, やがて7月30日に雄ずいがそれぞれ分化した. さらに雌ずいの原基も9月20日~30日につぎつぎ発育した.<BR>2.茎頂の構成は細胞の配列方向と形態構造によって, 外衣, 内体, 静止帯と髄部の4つの部分に分けることができた. 外衣と内体は主要な分裂組織であり,その細胞の中には通常液胞とデンプン含量は少なかった. 静止帯細胞と髄部の細胞は大きな液胞とデンプン粒を含んでいた.<BR>3.花芽分化の進行につれて, 特に静止帯細胞のデンプン粒の蓄積が増加し, やがて内体細胞の活性が高まった. そして内体細胞と静止帯細胞の形態に変化が認められ, さらに外衣層数が減少し, 逆に内体の層数が増加した結果, 茎頂が肥大し始めた.<BR>4.短果枝の芽の茎頂の髄部と静止帯の細胞にデンプン粒が多く含まれ, 茎頂の肥大に伴って特に静止帯細胞のデンプン粒が急速に増加した. さらに内体の分裂組織でもデンプン粒が一時的に増加したが, これは速やかに消失した. がく片分化期以後になると, 茎頂のすべての細胞でデンプン粒はほとんど認められなくなった。一方新梢上の葉芽ではこのようなデンプン粒の蓄積が認められなかった.<BR>5.花芽分化における茎頂の各組織, 特に静止帯の役割と, デンプン粒の消長について考察した.
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