胃がん死亡率の異なる2地域住民の腸内通過時間の比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
秋田県鳥海村と岩手県大迫町とにおいて,腸内通過時間(BTT),排便習性についてHintonらの方法により検討した。鳥海村は大迫町に比し,男子で6倍,女子で1.6倍の胃がん死亡率を示している。ペレットの80%以上排泄所要時間を指標としたBTTは,秋田の34.09±3.30時間に対し,岩手では43.89±4.27時間であり,100% BTTでは差はさらに拡がってP<0.05で有意であった。排便回数はBTTと同じ傾向で,秋田では1.79±0.10回で80% BTTに達したが,岩手では2.20±0.14回で,P<0.05で有意差を示した。また岩手では排泄が分散される傾向が認められた。排便回数には差がなかったが,個体差は大であった。排便1回当り便重量は秋田で有意に大であり,1日当り便重量にも同様な傾向が認められた。秋田のBTTと便重量との間に有意の相関が認められたが,岩手では有意ではなかった。1日当り便重量と5日間排便回数との相関は有意であったが,秋田では正,岩手では負の相関を示した。BTTは従来,結腸がんとの関連で研究されてきたが,今後,食生態-胃がん-BTT (Bowel behavior),との関連でも追求が必要であると思われる。
著者
関連論文
- 629. 睾丸特異的PGK-2を用いての睾丸毒性の検出 : エチレングリコール及び染色体異常による睾丸萎縮を例として(有機溶剤,一般演題,第62回日本衛星産業学会・第46回日本産業医協議会)
- 心身症の疫学-都市と農村における疾病構造の相違 : 胃潰瘍を中心として(心身症の疫学)
- 都市住民と農村住民の疾患罹患の層的相違とその心理社会的検討(心身症の疫学-その定義・診断基準・実態調査・治療指針)
- ヒトの生物学的条件からみた食教育
- 降雪地域における1-nitropyreneと浮遊粉塵による冬季の大気汚染
- 胃がん死亡率の異なる2地域住民の腸内通過時間の比較
- 縦断的にみた視力低下の現状とその要因