ヒトの生物学的条件からみた食教育
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概要
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家庭科における食教育は栄養,食品,調理の3つに大別される。食物についての教育は詳細にわたっているが,ヒト(Homo sapiens)の生物学的条件については,あまり考慮されていない。歯の形態,消化酵素の年齢や人種による違いなどのヒトの食性に関わる諸条件は健康の確保に重要な意味を持っているが,食の文化的な意味だけが強調され,ヒトの生物学的条件は忘れられている。筆者は補乳動物の食性の比較,地域の食生活に影響を与える自然環境要因,日本人の食生活の推移などについて検討を行った。1960年代から明らかにされてきているセヴンスデーアドヴェンティストや他のヴェジダリアンの癌,心疾患のリスクが低いことは,彼らの食生活がヒトの食性に近いためと考えられ,これらの事実とヒトの生物学的条件が,健康の視点から家庭科の食教育において考慮されるべきものと考える。
- 1990-10-31