兵庫県下一農村地区住民における血清Dopamine-β-hydroxylase活性と血圧値の関連性についての疫学的研究

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兵庫県下一農村地区住民を対象として,交感神経活動の指標と考えられる血清Dopamine-β-hydroxylase (DBH)活性の分布とその血圧値に対する関連性を検討し,以下の結果を得た。1. 正常者の血清DBH活性は対数正規型の分布を示し,その正常範囲は女性では8∼102I.U.,また男性では8∼75I.U.であった。2. 血清DBH活性のレベルは加齢とともにわずかに減少し,また女性の血清DBH活性は男性の血清DBH活性より有意に高かった。3. 血清DBH活性には地域差は認められなかった。4. 30歳代,40歳代および60歳代の女性において,その血清DBH活性は149/89mmHg以下の正常血圧範囲内では血圧の上昇にともなって増加する傾向が認められた。しかし,血圧値が150/90mmHg以上の範囲ではその活性はむしろ減少する傾向を示した。5. 本態性高血圧者群と正常血圧者群の血清DBH活性には有意差は認められなかった。また高血圧群の血清DBH活性の分布も正常者群のそれと同じであった。6. 正常者群の40歳代および本態性高血圧者群の50歳代では血清DBH活性と血圧値の間に有意の相関性が認められた。一方,血清DBH活性70I.U.以上の高い活性値を示す群は,各年齢層において,血清DBH活性15I.U.未満の低い活性値を示す群より正常血圧の範囲で高い血圧値を示す傾向が認められた。以上の結果から,血清DBH活性のレベルと血圧値の間には関連性があり,血清DBH活性の血圧値におよぼす効果は血圧値をその正常範囲の上限まで上昇させることにあると推測される。
日本衛生学会の論文

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