ラットの妊娠・出産・哺育に係わる母仔間のカドミウムの挙動
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概要
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妊娠第0日目に100μg/ratのCdを1回皮下投与,または妊娠期間を通じて5μg/ratのCdを妊娠第0日目から19日目まで20回皮下投与し,母獣,胎仔,哺育仔のCdの生体内挙動および亜鉛,銅の臓器内分布への影響について研究を行い,以下の結果を得た。1) 妊娠経過や胎仔,出産後の仔の成長にはCd投与の影響は認められなかった。2) 非妊娠雌の肝・腎Cd蓄積量は,妊娠20日目および投与中止後においては投与方法に関係なくほぼ一定であった。一方,妊娠群の肝・腎Cd蓄積量は,連続投与時には妊娠20日目において,非妊娠群より高くなる傾向を示した。投与中止後の肝・腎Cd蓄積量は,哺育をしている母獣では哺育期においてCd蓄積量が減少した。3) 胎盤は胎仔へのCd移行を防ぐ役目を果たしていると推測されるが,胎盤のCd濃度が一定のレベル(0.1μg/g)以上になるとあふれ現象として胎仔へのCd移行が起こり得ることが認められた。4) 母獣から乳汁を介して授乳仔へのCd移行が極く僅かであるが認められた。離乳後,幼若仔の肝,腎Cd濃度は母獣へのCd投与による差異はなく,飼料の摂取が始まると肝,腎Cd濃度は著明に増加した。5) Zn,Cuの変動は母獣ではCd投与よりむしろ,妊娠と哺育による影響が大きかった。非妊娠雌ラットではCd投与により肝Zn濃度,腎Cu濃度の増加が認められた。6) 胎仔および幼若仔のZn,Cuは連続投与時の妊娠20日目の胎仔の腎Zn,Cu濃度のみがCd投与により増加した。
- 日本衛生学会の論文
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