溶連菌制癌剤“PC-B-45”の頭頸部悪性腫瘍に及ぼす影響
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概要
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溶連菌制癌剤“PC-B-45”は臨床的実証の上に創製されたもので, その作用機序は岡本による核酸効果で解明されている. 私どもはその理論に基づいて頭頸部悪性腫瘍に対して使用を試みた. 患者はすべて現在までの療法, 手術, 放射線, 抗腫瘍剤にて効果を期待しえない症例であつた. 今回その病理組織学的所見を追及し, その影響について述べた. 症例は癌腫29例, 肉腫2例, 悪性メラノーム1例, 計32例である. その治療効果は腫瘍組織の消滅したもの9例, 腫瘍組織の進展停止または崩壊したもの10例, 腫瘍組織の1部崩壊したもの5例, 変化のなかつたもの8例であり, 使用回数の多いもの程効果が期待できた. 病理組織学的所見の変化は, 腫瘍組織の壊死, 崩壊, さらにその組織内への結合織の侵入, 増生, 置換の像が認められ, 腫瘍細胞の膨化, 空胞化, 染色能の減弱の所見がみられた. なお同時に臨床所見も緩解, 時には治癒の状態までもたらしたものもあつた.<BR>以上の推移からみて, 新しい構想のもとに開発された“PC-B-45”は悪性腫瘍の治療に多大の期待がもてるものと思う.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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豊田 文一
金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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前坂 明男
金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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槻 陽一郎
金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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谷 一郎
国立金沢病院耳鼻咽喉科
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豊田 務
農協高岡病院耳鼻咽喉科
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楽満 一夫
石川県中央病院耳鼻咽喉科
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谷 一郎
国立金沢病院
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