幼少時の左半球損傷による学業不振児の1例 : ―言語面および非言語面の障害についての検討―
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概要
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幼少時に発症した左前頭・側頭・頭頂葉領域におよぶ脳腫瘍摘出術後, 学齢後に学習不振をきたした1症例について検討した.<BR>本例は1歳から12歳までの間に計4回の摘出術を受け, 言語中枢を含む左半球に広範な損傷がみられたが, 日常会話レベルで, 日本語のみならず, 英語をも習得していた.しかし, 言語面にも文字言語力, 構文能力などの障害が認められた.非言語面では, 視覚認知力, 構成能力の乏しさが顕著に認められ, WISC-R知能検査においても言語性IQが74であるのにたいして, 動作性IQは46と著しい解離がみられた.本例の学習不振は, 言語面と非言語面の障害の両者によりもたらされたものと推測され, 本例の多大な努力も報われないという, 学習上の限界がみられた.言語面と非言語面の障害の間に解離がみられたことから, 発達の比較的早期に損傷を受けた本例の左右大脳半球において, 非言語面より言語面が優先的に発達してきた可能性が考えられた.
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