高純度鉛中のアンチモンの分解と濃縮 : マイクログラム量のアンチモンの分析化学的研究(第1報)
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概要
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鉛などに含まれる微量のアンチモンを比色定量するための分析方法を検討した結果,アンチモンは硝酸,過塩素酸でBase Metalを溶解するとき不溶性残渣となるが,同時に沈澱するものがないときにはかなり溶液の方に存在する.分析の目的に,二酸化マンガンおよび塩基性硝酸ビスマスを同時沈澱剤として使用しうる.クロロアンチモン酸のエーテル抽出およびクロロアンチモン酸-ローダミンBのエーテルおよびベンゼンによる抽出には,初めの試料状態が濃塩酸溶液でこれを希釈して抽出するか,初めかなり硫酸の濃い溶液に6<I>N</I>塩酸を加えるかして,クロロアンチモン酸の加水分解による影響を避ければ,有機溶媒に対する抽出は完全に行える.しかし塩酸の濃度が8<I>N</I>以上となると塩酸溶液中におけるクロロアンチモン酸の活量が減少するためか,抽出は十分でない.<BR>ローダミンB-アンチモン化合物をベンゼンに抽出するときに濃硫酸の果す役割を考えると,本実験結果(3・5既述)により,抽出そのものに関係あることではなく,始めに存在するアンチモンの溶存状態に関するものと考えられる.アンチモンの有機溶媒中えの抽出は6<I>N</I>附近の濃度の塩酸から抽出するのが望ましいが,一方始めのアンチモン溶液は濃塩酸溶液であることが必要である.従って始めのアンチモンを含む試料溶液が,濃塩酸溶液以外の溶液であるときには,試料溶液は蒸発乾固し濃塩酸抽出するか,濃硫酸で白煙まで加熱し,6<I>N</I>塩酸で希釈するかすることが必要となる.後者の場合で硫酸対6<I>N</I>塩酸体積比によりベンゼン中えの抽出率が異ることは,クロロアンチモン酸の生成量と溶液中のクロロアンチモン酸の活量が変化するゆえと解せられる.
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