Oxidized Hematoxylin による非鉄金属中のスズの比色定量法(第1〜2報)
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概要
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スズの比色定量法については, モリブデン青法, カコテリン法,ジチオール法,ヘマトキシリン法などいろいろ報告されているが, 2価の状態のスズに対する比色法が多く,還元操作に難点があり,モリブデン青法のごとく酸性の調節に困難をしめす場合が多い. ヘマトキシリン法は再現性はよいが,鋭敏度が悪く,濃度の広い範囲の定量には適しているが,高純度金属中に不純物として混入して来るような微量のスズの比色定量法には不適当である.著者はこの点でヘマトキシリンを過酸化水素で酸化した" Oxidized Hematoxylin " を使用してみた. Oxidized Hematoxylin は,ゲルマニウムの比色定量にはすでに報告されているが,これを4価のスズの比色定量に利用したところ,十分実用に供しうる結果を得たのでこれを金属亜鉛地金中のスズの比色定量に応用した.金属亜鉛は硝酸 (1:1).にとかし,蒸発乾固後,水を加え,弱硝酸酸性で二酸化マンガンによる共沈法によりスズを濃縮した.共沈濃縮操作の精度を放射性同位元素<SUP>113</SUP>Sn を用いて検討した.その結果金属亜鉛中のスズの比色定量法が可能となったのでここに報告する.<BR>第1報において金属亜鉛中のスズの比色定量法を報告した.すなわち金属亜鉛を硝酸 (1 : 1) にとかし, 硝酸酸性で二酸化マンガンをコレクターとしてスズを共沈濃縮し, Oxidized Hematoxylin により比色した. 鉛も同様に処理し,二酸化マンガンで共沈濃縮できるが, 第1報の Oxidized Hematoxylin によるスズの比色定量法の所でのべたように,鉛は硫酸鉛となって沈澱し, その結果スズの定量値に大きく負の値を示すので鉛を除く必要があり,スズと鉛の塩素錯塩の陰イオン交換樹脂に対する分布係数 K<SUB>d</SUB>* の差を利用して陰イオン交換樹脂を用いて分離することをこころみ,よい結果を得たのでここに報告する.スズの塩素錯塩の K<SUB>d</SUB> の測定は放射性同位元素<SUP>113</SUP>Sn を用いてバッチ法により測定し,また多量の鉛を用いるために塩化鉛の塩酸に対する溶解度は EDTA法により測定した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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