陰極線ポーラログラフ法によるニッケル中の微量コバルトおよびコバルト中の微量ニッケルの定量
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概要
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高感度,迅速性を有する陰極線ポーラログラフ法によって,ニッケル中の微量コバルトおよびコバルト中の微量ニッケルの定量に関する基礎的検討を行ない,両元素の還元波を分離し同時定量しうる限界濃度を求め,これを金属分析に用いる方法を確立した.支持塩0.5<I>M</I>アンモニア水+0.1<I>M</I>塩化アンモニウム中で,ニッケルおよびコバルトのピーク電位はそれぞれ-1.09ボルト,-1.27ボルト対S.C.E.であり,ピーク電流と濃度との間に直線関係が得られ,ニッケルとコバルトの定量下限は測定液についてともに0.03μg/m<I>l</I>(約5×10<SUP>-7</SUP>mol/<I>l</I>相当)である.コバルトの定量においてニッケル約2000倍まで,ニッケルの定量においてコバルト約6000倍までの共存が許容される.金属分析への応用に際し鉄の除去はメチルイソブチルケトン抽出法の適用が容易である.金属ニッケル中の0.05%以上のコバルトの定量,金属コバルト中の0.01%以上のニッケル定量に応用できる.<BR>ニッケルおよびコバルトの定量法について陰極線ポーラログラフ法による際の各種諸条件の検討を行ない,定量法を確立した.ニッケルおよびコバルトが単独に存在する場合にはどちらも0.03μg/m<I>l</I>の低濃度まで定量できる.両者が共存する場合の陰極線ポーラログラフ法における検討結果から,掃引速度0.2V/sec以下が両波の分離に関して最適であり,この場合の極大抑制剤としてのゼラチン添加量は0.002%程度で十分であった.鉄鋼試料中のコバルトおよびニッケルの定量においては,あらかじめ鉄を除去する必要があり,これにはメチルイソブチルケトン抽出法が最適と考えられる.金属コバルト中のニッケルの定量においては約6000倍のコバルトの共存下で可能であり,0.01%以上のニッケルの定量が容易である.金属ニッケル中のコバルトの定量においては約2000倍のニッケルの共存下で可能であり,金属ニッケル中の約0.05%以上のコバルトの定量が容易である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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