アトラスCH4型質量分析計による鉄同位体比の測定

概要

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アトラスCH 4/IV型質量分析計を使用してダブルフィラメント方式による表面電離法で鉄の同位体比を分析した.試料には取り扱いが容易な酸化第二鉄を使用した.じゅうぶんなイオン電流を得るには鉄100μgが必要であった.しかしながら,酸化第二鉄からの鉄イオンの放出は不安定であったので,担体として他の金属酸化物すなわち酸化ストロンチウム,酸化ランタン,酸化トリウムおよび酸化ウランを加えてその効果について検討した.その結果酸化トリウムが最も適しており,鉄とトリウムの混合モル比は4:1が最もよいことがわかった.本分析法によるときは同位体効果,イオン化ケース,実験日時およびフィラメントの使用回数の相違などによる影響はまったくなかった.<BR>この方法によって鉄イオンを安定した高い電流値で相当時間得ることができ,標準偏差率として0.3〜0.4%のよい分析精度が得られた.<BR>ダブルフィラメントを使用した表面電離法によって鉄同位体を分析する目的でイオンの出やすさ,イオン電流の安定性および持続性について検討した.試料に酸化第二鉄を使用した場合,それにトリウム酸化物を担体として加えることによって長時間安定した強いイオン電流が得られ,したがって精度よく鉄同位体が分析できることがわかった.加える担体の量は試料の鉄の量に対して1/4等モルが最も適当であった.本実験のみから担体の作用機構について論ずることはできないが,これについては今後さらに検討していく予定である.
社団法人日本分析化学会の論文

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