微量アルキル水銀化合物のガスクロマトグラフィーにおける挙動
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概要
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RHgXおよびRHgRなどのアルキル水銀化合物のng付近がガスクロマトグラフィーにおいて示す挙動を研究した.ガスクロマトグラフカラムとして, DEGSをChromosorb Wに対し5%塗付し, ステンレス管に充てんしたもの (I) および水晶粉体に対し1%塗付し, ガラス管に充てんしたもの (II) をいずれも140〜150℃において用いた.カラム (I) を使用した場合, 試料導入量が10<SUP>-5</SUP>g以上ではRHgX (X=I, Cl, Br) およびRHgRは相互にかなり良好に分離されたが, 試料導入量が10<SUP>-8</SUP>g以下においてはこれらの化合物はアルキル基が同一であればX基のいかんにかかわらず同一保持時間を与えた.これらの現象はカラム (II) を用いた場合には認められなかった.アルキル水銀化合物はガスクロマトグラフカラム内において, その微量部分がカラム構成材料 (ステンレス鋼, 多孔性担体など) の接触作用により熱変性を受けるものと推定される.試料導入量10<SUP>-5</SUP>g以上で熱伝導度検出器を用いる場合, 導入試料の大部分は熱変性を受けないでカラムを通過し, 固有の保持時間を与える.この場合熱変性を受けた微量部分は検出されない.しかし試料導入量を10<SUP>-8</SUP>g以下に減じた場合, 導入試料は完全に熱変性を受け, この生成物が電子捕獲検出器で検出される.変性の機構は明らかではないが, カラム (I) においてはX基を分解するなんらかの反応が起き, X基に関係のない別の化合物を形成しているものと推定される.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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