塩素イオンの電解酸化生成物による金属硫化物の分解
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概要
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汚水などの中に,硫化物として存在する金属イオンを分解し,可溶性イオンの形にするための基礎的検討を行なった.すなわち塩素イオンを電解酸化して発生させた酸化剤を用いて,金属硫化物を酸化分解する方法を試みた.カドミウム,鉛,水銀(II)および銅(II)の硫化物について検討した結果,弱アルカリ性(pH8)の1.5<I>M</I>塩化ナトリウム溶液中での,約100mAの電解電流による約5分間の電解で,これらの硫化物の約1×10<SUP>-4</SUP>mol/50m<I>l</I>がほぼ完全に分解した.この分解における見かけ上の電流効率は約55〜70%であった.この方法は連続分析における試料処理法として利用でき,またその際の電解液として海水を用いることも可能と思われる.<BR>次に強酸性溶液中で塩素イオンを電解酸化するときの電流効率を,電流-電位曲線から測定し,電流密度が0.1〜90mA/cm<SUP>2</SUP>の範囲で100%の電流効率が得られることがわかった.またpH8程度の溶液中では,塩素イオンの酸化の電流効率はやや低くなること,および硫化物の分解に対して作用している物質は次亜塩素酸イオンであることを,電位-pH図などから推定した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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