水溶液中での雪の粗大化
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概要
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前報 (蒸留水中の雪の粗大化) に引き続き, 水溶液 (ブドウ糖, NaCl, HCl, デキストランの各溶液) 中での粗大化を調べた.雪粒の平均粒径<I>r</I>は水に浸してからの経過時間tの3分の1乗に比例し, 平均体積は時間に比例して増大した.粗大化は溶液濃度<I>S</I>が大きいほど, また拡散係教<I>D</I>が小さいほど遅くなった.<BR>雪粒の曲率による融点降下および雪粒の成長・融解による溶液内の濃度分布をもとに, 熱伝導と拡散の式から導いた雪粒半径の成長速度<BR><I>dr</I>/<I>dt</I>=1/1+<I>ρk<SUB>w</SUB>S/ρ<SUB>i</SUB>LD</I>・2<I>ak<SUB>w</SUB></I>/<I>ρ<SUB>i</SUB>L</I>・1/<I>r<SUP>2</SUP></I><BR>(ただし, ρはモル氷点降下, <I>k<SUB>w</SUB></I>は溶液の熱伝導率, ρ<SUB>i</SUB>は氷の密度, <I>L</I>は氷の融解潜熱, <I>a</I>は氷と水溶液の界面エネルギー) は実測値とよく一致した.このことから, 粗大化は前報と同様, 平衡温度の高い雪粒 (大きい雪粒) から平衡温度の低い雪粒 (小さい雪粒) への熱の流れによって雪粒が成長および融解・消滅するためと考えた.また不純物は熱の流れを妨害するので粗大化を遅くする.<BR>水溶液に浸した雪の硬度は時間の経過とともに急速に減少するが, 純水中のものにくらべると変化が遅かった.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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