僧帽弁置換術後に発症したBranhamella (Neisseria) catarrhalis起炎の心内膜炎の1例
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概要
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僧帽弁置換術後Branhamella (Neisseria) catarrhalis起炎の心内膜炎を生じ,治癒せしめた1例を経験したので,文献考察を含めて報告する.症例は29才,男で, 15才頃より僧帽弁閉鎖不全症を指摘されており, 28才で僧帽弁置換術(Ionescue-Shiley弁)を施行した.弁は,腱索の延長などを認めた. 6カ月後, 40.2°Cの発熱や悪寒があり緊急入院した.身体所見では,皮膚にオスラー結節,眼底にはロート斑を認めた.治療開始前の2回の血液培養でBranhamella catarrhalisを検出し,アンピシリン8g/日の点滴静注を開始し, 8週間継続した.第8病日には強い頭痛があり髄膜炎の合併も疑われ,腰椎穿刺では髄液中の蛋白と細胞数の増加を認めた.白血球数は13200と増加し,血沈は1時間値43mm, 2時間値100mmと亢進し, CRP(+)であつた.体温は約3週間で37°C以下となり,白血球数・CRP・血沈も改善して,アモキシシリン1.5g/日の経口投与に変更して,第60病日に退院した. Branhamella catarrhalisは非病原性と考えられている.本菌による心内膜炎は非常にまれであり, 6例が報告されているにすぎない全例,高熱で発症して典型的な症状を呈し,このうち3例は死亡している.本例は,僧帽弁置換術後に本菌による心内膜炎を生じた.文献的考察により,本例では,異種弁である置換した人工弁に本菌が付着していたことも考えられた.また,本菌による呼吸器感染症などが,最近,増加する傾向も認められた.
著者
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松本 慶蔵
長崎大学熱帯医学研究所内科
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宇塚 良夫
長崎大学熱帯医学研究所
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倉持 衛夫
長崎大学医学部第三内科
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橋場 邦武
長崎大学医学部第三内科
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宇都宮 俊徳
長崎大学医学部第三内科
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中原 賢一
長崎大学医学部第三内科
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