本態性高血圧症患者における10年以上長期降圧薬治療の循環血液量,血漿レニン活性および血漿アルドステロン濃度に及ぼす影響-特に利尿薬長期投与の降圧機序の検討-
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概要
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長期降圧薬治療,特に利尿薬長期投与の降圧機序を検討する目的で, 10年以上降圧治療を継続した本態性高血圧症患者の循環血液量(BV),血漿レニン活性(PRA)および血漿アルドステロン濃度(PAC)を測定し,これらの諸測定値を利尿薬服用患者,交感神経抑制薬服用患者および本症未治療患者との間で比較検討した. 1)利尿薬単独投与群ではBVの減少傾向を認め, PRAおよびPACは増加していた.またBVとPRAの間には有意な負の相関関係を認めた. 2)交感神経抑制薬単独投与群では, PRAおよびPACの減少がみられたが, BVの増加は認められなかつた. 3)一部の患者で利尿薬を1〜3カ月間中止すると,すべての症例で平均血圧が上昇し,その変化とBVの増加との間に有意な正の相関関係が認められた.一方PRAは有意に下降した. 4)未治療群および治療群全体でPRAとPACの間に有意な正の相関関係がみられた.以上の所見は,長期投与例においても,利尿薬がBVを減少する様に作用していたこと,およびBVの変化が降圧効果を規定する一因子であつたことを示すものと考えられる.また本研究における各治療群のPRAおよびPAC値は,主にBVの変化の傍証と考えられ,長期治療群においても両者の間に有意な相関関係が認められたことは,長期間の降圧薬投与がレニン・アルドステロン調節系に対し大きな修飾を与えないことを示唆すると思われる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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