Carcinoid症候群を呈した気管支carcinoidの1例
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概要
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咳嗽発作と上腹部腫瘤を主訴として入院した58才の女性の胸部X線像,肝シンチ所見等より肺癌の肝転移と考えられていたが,入院後顔面から前胸部を主とした著明な潮紅,発汗,喘息等が発作的に出現し尿中5-HIAAの測定等より気管支カルチノイドによるカルチノイド症候群と診断し,その症状,薬物効果,活性物質等について検討を行なつた.弁膜症等の心変化は見られなかつたがその他消化器,呼吸器,心血管系等の多彩な症状を呈した.副腎皮質ステロイドホルモンがこれらの症状のうちのいくつかには有効であつたが種々の抗ヒスタミン薬,抗セロトニン薬等は無効であつた.腫瘍に対してはサイクロフォスファマイドの投与を行なつたが無効と判定した.尿中5-HIAAは増加していたが血中セロトニンは正常であり尿中に5-hydroxytryptophanはみられなかつた.末期には1日20行に及ぶ下痢を来たし,黄疸,腹水を伴い肝不全にて入院後300余日で死亡し,剖検では左肺上葉原発のくるみ大の気管支カルチノイドの肝,両側腎への転移であつた.
著者
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