吸収障害を合併した滲出性胃腸症の1例
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概要
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36才.男子.顕著な特発性低蛋白血症症状を呈し,臨床的, X線学的ならびに諸検査所見に基づき,吸収障害を合併した滲出性胃腸症と診断し得た症例について報告した.初診時血清蛋白2.4gの著しい低蛋白血症が存在した. 131I-PVP試験の結果,屎中排泄131I-PVPは6.1%に達し,血漿アルブミン代謝測定において,生物学的半減期は正常値の1/2,すなわち5.6日を示し, turnover数は0.329g/kg/日であつた.これに反し,窒素出納はそれぞれ7日間宛の2回の短期間の観察期間中常に正の出納を示し,また,入院期間中しばしば血清蛋白濃度の急激な低下がみとめられた.かかる点から,著者らは血清蛋白の消化管への漏出は間欠的に出現するものであり,窒素出納の測定は長期間連続実施するに非ざれば,蛋白喪失性胃腸症の診断には価値の少ないものと考える.胃X線学的所見は雛壁の拡大,胃粘膜は朦朧像を呈し,肥厚性胃炎と診断したが,これはガストロカメラ検査によつても確認された.空腸ならびに廻腸領域には,吸収障害に特有な所見である腸内径の拡大および造影剤の稀釈が認められた,著者らは滲出性胃腸症の診断に利用した諸検査に批判を試みるとともに,滲出性胃腸症と既知類似疾患との相互関係に関し図説をこころみた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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