急性肝炎を経過後,無黄疸性の胆道酵素上昇が持続した肝腫大を伴う血糖不安定型糖尿病性腎症の1透析例
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概要
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糖尿病性腎症にて血液透析中の36歳の女性が,血糖調節の悪化とともに著明な肝腫大をきたし,経過中肝不全で発症後無黄疸性高アルカリフォスファターゼ(ALP)血症を伴う慢性肝炎(非A非B型)に移行し,腎不全の増悪により死亡した1剖検例を報告した.本症例の空腹時血糖値は,20〜48単位のインスリン使用時に100以下から1,000mg/dlを越える変動を示し,肝は右肋弓下7横指に達した.血清ALP活性は肝炎併発後GOT, GPTの変動と一致して増減し77.8K-AUに達したが,血清ビリルビン値は1.0mg/dl以下であった.ALP以外にLAP, γ-GTP活性,総コレステロール値も上昇し,Slow-migrating HDLが出現するなど胆汁うっ滞の所見を示した.組織学的には糖原の蓄積による肝の腫大が考えられたが胆汁うっ滞の所見はなく,慢性肝炎に付随した胆汁うっ滞の特殊型としての無黄疸性胆道酵素上昇症の存在が示唆された.
著者
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大森 浩之
重井医学研究所附属病院
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大森 浩之
重井医学研究所
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武田 和久
香川大学保健管理センター
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大森 晶彦
重井医学研究所附属病院内科 小児科
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芳野 健
重井病院
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小川 勝士
重井医学研究所附属病院
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植杉 成一郎
重井医学研究所附属病院
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小坂 淳夫
重井医学研究所附属病院
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大森 晶彦
重井医学研究所附属病院
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