ヒト肝癌細胞に対するβ-インターフェロンの直接作用的抗腫瘍活性の検討
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概要
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肝癌に対するインターフェロン(IFN)の臨床応用の基礎的検討の目的で,ヒト肝癌細胞株PLC/PRF/5に対するヒト線維芽細胞インターフェロン(HuIFN-β)の効果を検討した.In vitroでは,この肝癌細胞の増殖は30〜1,000IU/mlのIFNにより抑制されたが,100IU/ml以下のIFNの増殖抑制効果は一時的であった.また,同一濃度での細胞増殖抑制効果は,cloningにより得られた細胞株毎に大きな差がみられた.ヌードマウス移植肝癌においても,IFNの投与(2×104IU/日,6週間)により,1週間で腫瘍は縮小したが,3週以後は腫瘍の増大は阻止されなかった.以上より,この肝癌細胞において,IFNに対する感受性の異なる複数のsublineが存在することが明らかとなり,IFN抵抗性株の存在が示唆された.したがって,肝癌の治療にIFNを単独で用いる場合には,局所濃度を高く維持する必要があり,投与1カ月を経過しても効果が明らかでない場合には,治療の変更を考慮すべきであると考えられた.
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