肝の神経性血管運動調節に関する実験的研究-正常肝と硬変肝との比較-
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概要
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肝硬変症における門脈圧亢進の発生機序については肝の形態学的変化もさることながら,肝内血管の機能的変化も何らかの重要な役割を演じているのではないかと考えられる.本研究では正常および肝硬変ラットの摘出肝灌流実験を行い,肝血管運動神経の肝循環におよぼす影響について検討した.その結果,1)肝神経刺激により肝の血管抵抗は著明に増大し,2)硬変肝では正常肝よりも低周波数の刺激によって肝血管抵抗は最大値に達し,かつその値は正常肝よりも高い傾向を示した,また,3)肝血管抵抗の増大は肝内門脈枝の収縮によることを明らかにし,類洞および肝静脈枝の収縮は認めなかった.これらの実験結果から,肝血管運動神経の興奮による肝内門脈枝の収縮が肝硬変症において亢進していた門脈圧を-過性に急激に上昇させ,これが上部消化管出血の契機となる可能性が示唆された.
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