肝疾患における血中cryoglobulinの検出とその病態生理学的意義
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概要
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肝疾患127例につき免疫複合体の間接的証明法とされるcryoglobulin (cryo.)の検索を行った.血中cryo. 1mg/dl以上をcryo.陽性とみなしうるが急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変症でのcryo.陽性率はそれぞれ14, 28, 61%で病変の進展と共に陽性率が増大し, HBs抗原・抗体共存例, e抗原陽性例でそれぞれ67%, 75%と高頻度の陽性率を示した. cry.陽性の27症例につきcryo.中に含有される免疫成分を検討した所,免疫グロブリンではIgG+IgM型が最も多く(74%), R.F.は85%に検出された. HBs抗原陽性例の大多数でcryo.中にHBs抗原が検出されたが,陰性例20例中2例でcryo.中にHBs抗原が検出された点が注目された.またcryo.陽性27例中18例で関節痛,腎障害等免疫複合体に基く症状の発現があり, γ-globulinの高値,<SUP>198</SUP>Au-colloid clearanceの低下,補体の低下が特徴的であった.従って慢性肝疾患では肝細胞破壊に門脈・大循環系間の短絡形成,肝網内系の機能低下が加わることによりcryo.生成が増大し病状が修飾されるとの結論を得た.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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福田 善弘
京都大学第二内科
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福田 善弘
京都大学医療技術短期大学部
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佐野 万瑳寿
京都大学第2内科
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玉井 義朗
京都大学第二内科
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伊藤 憲一
高知医大第一内科
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福田 善弘
京都大学第2内科
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玉井 義朗
京都大学第2内科学教室
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伊藤 憲一
高知医大第1内科
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