いわゆる特発性門脈圧亢進症の成因に関する研究
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概要
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門脈圧亢進症を引きおこす疾患の中には肝硬変症,日本住血吸虫症などのほかに,門脈域の種々な程度の線維化を示す症例がある.<BR>この一群の疾患を何と呼ぶかは別として,日本ではこれを一つの疾患群としてまとめようという考え方がある.ところでこの肝線維症の原因であるが,肝硬変症がすべての慢性肝疾患の最終形態であるのと同様に,そのabortive fOrmである肝線維症も種々な原因で起こり得ると考えられる.問題は特に日本でかかる線維症が何でおこる事が多いかという事にある.本研究はかかる門脈圧亢進症を引き起こす線維症の原因として,肝炎,殊にB型肝炎ウイルスを取り上げ,過去の症例63例につき,組織のHBs抗原をオルセイン法で検討した.又組織の炎症性反応の有無を検討した.その結果乙型及び乙型肝硬変では23.8%にHBs抗原を見出したのに対し,線維症では9.5%にHBs抗原を見出し,又,線維症でも46%にリンパ球を主体とした細胞浸潤を認め,これらの疾患の成因の一つとして肝炎が充分に考えられることを立証した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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志方 俊夫
東京大学医学部病理
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鵜沢 輝子
東京大学医学部病理
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山崎 誠行
東京大学医学部病理
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鵜沢 輝子
東京大学医学部 病理学教室
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志方 俊夫
東京大学医学部 病理学教室
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山崎 誠行
東京大学医学部 病理学教室
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