慢性肝炎からのヘパトームの発生
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概要
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肝炎性肝硬変の約半数にヘパトームが発生するが,脂肪性肝硬変やその他の肝硬変にヘパトームが発生することは稀れである.また,ヘパトームの症例の40%にHB抗原が見出されるなど,肝炎ウイルスとヘパトームは密接な関係がある.しかし従来ヘパトームは肝硬変症の経過中,肝細胞が破壊と再生を繰返すうちに発生すると考えられて来た.たしかにヘパトームの86%は肝硬変を伴っているが,8%は軽い肝線維症を伴っている.本研究はこのようなヘパトームに伴う肝線維症の成因を明らかにする為に,肝組織をもちいて色素による染色法でHB抗原の検索を行なった.その結果40%の症例の非癌部にHB抗原が見出された.つまりこの肝線維症のあるものは慢性肝炎であり,ヘパトームは肝炎から肝硬変ができ上った状態に発生するばかりでなく,軽い線維化を示す慢性肝炎にも発生し得ることが明らかになった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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志方 俊夫
東京大学医学部病理
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鵜沢 輝子
東京大学医学部病理
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山崎 誠行
東京大学医学部病理
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鵜沢 輝子
東京大学医学部 病理学教室
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志方 俊夫
東京大学医学部 病理学教室
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山崎 誠行
東京大学医学部 病理学教室
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