アダクト晶析による<I>p</I>-, <I>m</I>-キシレン異性体の分離
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概要
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テトラ(4-メチルピリジン)ニッケル(II)ジチオシアネート錯体を用いるアダクト晶析法による<I>p</I>-キシレンの異性体分離に関して微分晶析法による検討を行った.<I>p</I>-キシレンと<I>m</I>-キシレンを含む溶液中から析出したクラスレート結晶中には<I>p</I>-キシレンと溶媒分子のほかに<I>m</I>-キシレンも包接されその濃度は溶液中の<I>m</I>-キシレン濃度に比例して増加する.一方, 溶液中の<I>p</I>-キシレン濃度が増加すると, 結晶中の<I>m</I>-キシレン濃度は最初に増加し, 極大値を経て減少する.この初期の増加は, <I>p</I>-キシレン分子が包接され析出する過程で, <I>m</I>-キシレン分子が同伴される“アンカー効果”によるものと考えられる.<I>p</I>-キシレンと<I>m</I>-キシレンの固液間分配関係にBerthelot-Nernst則を適用し分離係数γを求めたところ, この値は溶液組成と晶析温度に依存し30〜150の間で変化することが認められた.そこで, クラスレート結晶中の<I>p</I>-キシレンと<I>m</I>-キシレン濃度の相対値は, それぞれの液状クラスレートの析出速度の比によって決まると仮定して, 晶析モデルを提案した.この晶析モデルによって, 液状の<I>p</I>-X, <I>m</I>-Xクラスレート形成反応の平衡定数とそれらの析出速度定数からなる分離係数βが定義された.このβの値は, 液組成によらず一定となり本系の分離特性を良好に表現できることが明らかとなった.さらにβ値は本実験条件下では温度にもよらず一定とみなせることが認められた.
- 社団法人 化学工学会の論文
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