日本人男性同性愛者の免疫異常
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概要
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human immunodeficiency virus (HIV)抗体の検査を希望して当内科を受診した男性同性愛者192名を対象に,彼らの日常の性行動(男性同性愛行為で接触した人数,相手の国籍,肛門性交の経験の有無)を問診により聴取するとともに,各種免疫学的検査(リンパ球サブセット検査, interleukin 2産生能,好中球貪食能, PPD皮膚反応),および梅毒血清反応,各種ウイルス(B型肝炎ウイルス,単純ヘルペス,帯状ヘルペス,サイトメガロウイルス, EBウイルス)抗体価の測定を行なった.今回検査した192例の血清中のHIV抗体は全例陰性であったが, CD4+リンパ球の減少, CD8+リンパ球の増加, CD4+/CD8+比の減少などTリンパ球サブセットの異常が約1/3の症例に存在し, CD11+リンパ球は70%以上の症例で中等度〜高度に増加していた.梅毒血清反応とB型肝炎ウイルス抗体陽性率は一般健康人に比し有意に高く,また他のウイルス抗体価も高値で,特にサイトメガロウイルス抗体価が高い症例のCD11+リンパ球は増加する傾向にあり,ウイルス再活性化との関連が示唆された.しかし,これら異常と,彼らの性行動との間には相関はみられなかった.好中球機能, interleukin 2産生能, PPD皮膚反応は全例正常であった.以上より, HIV抗体陰性であっても,日本人男性同性愛者の免疫機能は少なからぬ症例で低下しており, HIVなどに対し易感染状態にあることが示唆された.
著者
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