黒毛和種雌ウシにおける生涯子ウシ生産性ならびに胎子発育に関する研究
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概要
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黒毛和種雌ウシの生涯的な繁殖能力について,以下の諸点を明らかにした.1)胎子発育:胎子体長と体重より成長曲線が得られ,胎子の発育過程が明らかになった.2)出生から性成熟までの雌性生殖器の発育:出生から性成熟までの生殖器発育を,摘出生殖器により検討した.体重約260kg以上あるいは約300日齢で性成熟に達した個体では,生殖器も十分発育していた.性成熟時の子宮重量は78-139g,子宮角の直径は1.8-2.9cmの範囲にあった.3)分娩後の子宮修復:分娩後の子宮修復過程を知るため,摘出子宮を組織学的に観察した.分娩後18から29日目では,内膜組織に多数の食細胞やリンパ球が認められた.子宮腺は不定形な断面を示し,内膜上皮直下の毛細血管の収縮は不十分であり,修復が完了していなかった.分娩後46日以後では,内膜組織から上記の異種細胞が消失し,修復が完了していた.生体内子宮の超音波映像からも,子宮修復は分娩後約40日で完了することが明らかになった.4)生涯的な繁殖能力:繁殖供用開始から淘汰までの生涯的な繁殖能力を検討したところ,雌ウシ221頭の計1167回の妊娠例で,分娩後の発情回帰,空胎日数および分娩間隔の平均は,それぞれ67.7,125.5および417.5日であった.初産と最終産年齢の平均は,2.53および8.15歳であり,累積淘汰率は5産後までに51.8%,8産後までに83.0%であった.黒毛和種雌ウシでは,繁殖供用開始月齢は15-20ケ月齢であり,他方供用限界は7-8産が目安であった.
- 日本繁殖生物学会の論文
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