黒毛和種雌牛における分娩後の子宮復故の組織学的研究
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概要
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初産仔牛に授乳中の黒毛和種雌牛5頭を,分娩後18,23,29,46および54日目に屠殺して子宮を摘出し,分娩後の子宮復故状況を,組織学的に検討した.また,分娩直後に仔牛を早期離乳した雌牛2頭を,分娩後44および62日目に屠殺し,同様に子宮復故状況を検討した.分娩後18,23および29日の授乳牛の子宮では,内膜組織内に多くの食細胞とリンパ球およびリンパ小節が認められた.子宮腺の外径には,かなり変異がみられ,腺腔は大きかった.表面上皮直下の毛細血管の収縮は不十分であった.これに対して,分娩後46および54日の子宮では,内膜組織内にリンパ球や食細胞はほとんどみられず,子宮腺は内膜組織に均一に分布していた.また腺上皮は高く,基底部の線では,腔がほとんど観察されなかった.一方,分娩直後に,早期離乳した雌牛の分娩後44および62日の子宮では,内膜組織内にリンパ球と食細胞が多く観察され,子宮腺の分布も不規則で,その形状も不定形であり,腺腔も大きかった.以上の結果,組織学的には,授乳牛の子宮は,分娩後30日未満では復故が不十分であり,完全な復故は,分娩後約40日以降と推定された.また,仔牛を分娩直後に早期離乳することによって,子宮復故の遅延する可能性が示唆された,なお,これら子宮の組織学的な復故状況は,子宮形態や悪露の存在から推定される復故状況と,ほぼ一致するものであった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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